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SAXOPHONE DUO CONCERT終演しました!

2022/10/08

10月5日に、サクソフォニストの田中愛希さんと三浦夢子さん、そしてピアニストの羽石道代さんによるSaxophone Duo Concertが行われました。今回の演奏会では、私は「カッチーニのアヴェ・マリアによるパラフレーズ」の作曲として関わりました。

「カッチーニのアヴェマリア」は非常に有名で、純粋で美しいメロディーが人気ですが、その作曲背景は少し入り組んでいます。この曲の作曲者はカッチーニではなくウラディーミル・ヴァヴィロフという20世紀に活躍したロシア人で、ヴァヴィロフ自身はこの曲を作者不詳のルネッサンス時代の曲と謳っていました。その後、レコード会社の都合かアイディアによって、カッチーニ作ということにされた曲です。このような事情もあって、この曲には原典が無く、知られている旋律や伴奏を集めることでしか曲に迫ることができません。そこで、私はこの曲の和声進行と旋律を借りるだけにして、自由に作曲してしまおうと思い立ちました。少しロシア風味のある和声を使い、ルネッサンスから近代まで猛烈に駆け抜けるような変奏曲に近い形式にしました。

大変な難曲に仕上がってしまい、少なくとも私自身は弾けないパッセージが各所に散りばめられていますが、羽石さんの素晴らしいピアノ技術によってしっかりと曲に筋が通り、当日のリハーサルの時からいたく感動しました。

もちろん本番も素晴らしい出来で、この編曲に携われたことは本当に幸せでした。

なお、他の演目も非常に興味深く、特にゴトコフスキーの叙情的三重奏曲の第3楽章は、私は知らない曲でしたが、非常に内容が豊かで、響きに新鮮さと重厚さがあり、大好きな曲となりました。早速第1楽章と第2楽章も聞いてみたいと思います。

今回の演奏者の田中愛希さんと三浦夢子さんは、サックス四重奏団「Parero Saxophone Quartet」のメンバーで、このカルテットの11月から12月にかけて行われる全曲ツアーでも、ショパンの「バラード1番」の編曲として私も関わっています。これもまた非常に楽しみです。